認知症は何かの病気によって起こる症状や状態の総称です。
加齢による物忘れと認知症はちがいます。

誰でも年齢を重ねていくと、もの覚えがわるくなったり、人の名前が思い出せなくなったり、記憶力が落ちてくることがよくあります。こうした「物忘れ」は脳の老化によるものが多数です。しかし、認知症は「老化による物忘れ」とは全く異なるものなのです。「認知症」とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったりしたためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態のことを指します。老化による物忘れと認知症は似ているように思いますが違うものなのです。

老化による物忘れと認知症のちがい

老化による物忘れ 認知症
原因 脳の生理的な老化によるもの 脳の神経細胞の変性や脱落が原因
物忘れ 体験したことの一部を忘れてしまう 体験したことまるごと忘れる
症状の進行度 あまり進行はしない だんだん進行していく
判断力 低下しない 低下する
自覚 忘れっぽいことを本人が自覚している

忘れていることの自覚が全く無い

日常生活 支障はない

支障をきたす

認知症のほとんどを占める、三大認知症

認知症のうち、およそ半数はアルツハイマー型認知症です。次に多いのが脳血管性認知症、そしてレビー小体型認知症と続きます。これらは「三大認知症」といわれています。
このうち約60%はアルツハイマー型認知症が原因で、約20%は脳血管性認知症によるものとされています。認知症の種類によって、症状も変わってくるので、それぞれに合わせた適切な対応やケアが重要になります。

認知症の特徴

認知症の種類 性別 症状の特徴
アルツハイマー型認知症 女性に多い
  • 最近のことを忘れる
  • 判断力が低下する
  • 認知症であることを認めない傾向がある
脳血管性認知症 男性に多い
  • 認知障害にムラがある(まだら認知)
  • 感情をコントロールできない(感情失禁)
レビー小体型認知症 男性に多い
  • 幻視や錯視がある
  • 手が震える
  • すくみ足などのパーキンソン病症状

アルツハイマー型認知症

物忘れから気付くことが多く、今まで日常生活でできたことが少しずつできなくなっていきます。新しいことが記憶できない、思い出せない、時間や場所がわからなくなるなどが特徴的です。また、物盗られ妄想や徘徊などの症状が出ることがあります。

 

主な症状:認知機能障害 / BPSD(行動・心理症状)

脳血管性認知症

脳梗塞や脳出血などによって発症する認知症です。脳の場所や障害の程度によって、症状が異なります。そのため、できることとできないことが比較的はっきりとわかれていることが多いです。手足の麻痺などの神経症状が起きることもあります。

 

主な症状:認知機能障害 / BPSD(行動・心理症状) / 身体面の症状

レビー小体型認知症

実際にはいない人が見える「幻視」、眠っている間に怒鳴ったり、奇声をあげたりする異常言動などの症状が目立ちます。また、手足が震える、小刻みに歩くなどパーキンソン病症状がみられることもあります。頭がはっきりしたり、ボーッとしたり、日によって変動することも特徴的です。

 

主な症状:認知機能障害 / 認知機能の変動 / BPSD(行動・心理症状) / 抑うつ症状 / 身体面の症状